マダニに噛まれたら
マダニに噛まれたら命の危険!SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の恐ろしい実態と対策法
はじめに:なぜ今、SFTSが注目されているのか?
最近、アウトドア活動が盛んになる中で、マダニによる感染症SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の報告が急増しています。2023年には過去最高の133名の患者が報告されており、もはや他人事ではありません。
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SFTSとは?基本知識を分かりやすく解説
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の基本情報
重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome:SFTS)は、主にSFTSウイルスを保有しているマダニに刺されることにより感染するダニ媒介感染症です。
重要なポイント:
– 致命率は国内では27%と報告されている
– 感染症法では四類感染症に位置付けられています
– 2013年から日本で確認され始めた比較的新しい感染症
なぜこんなに危険なのか?
SFTSが恐ろしい理由は**致死率の高さ**にあります。東京都感染症情報センターの報告では、致死率は約27%と非常に高く、早期の医療対応が生命を左右します。
これは、一般的なインフルエンザの致死率(0.1%未満)と比較すると、その危険性がよく分かります。
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感染経路:どのようにして感染するのか?
主な感染経路
1. マダニからの直接感染(最も多い)
– ウイルスを保有するマダニの刺咬
– 日本では少なくともフタトゲチマダニとキチマダニがヒトへの感染に関与している
1. 動物からの感染
– SFTSを発症したネコやイヌなどの伴侶動物に咬まれる、体液等に直接触れる
– 実際に、猫に咬まれたことが原因でヒトがSFTSウイルスに感染した事例が報告されています
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症状:早期発見のための警告サイン
初期症状(感染後6-14日)
発熱、消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)を主徴とし、時に、腹痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節腫脹、出血症状などを伴う
チェックリスト:
– ✓ 38度以上の発熱
– ✓ 吐き気・嘔吐
– ✓ 下痢・腹痛
– ✓ 全身のだるさ
– ✓ 食欲不振
重症化のサイン
– 意識障害・けいれん
– 呼吸困難
– 出血症状(歯肉出血、紫斑、下血)
– ショック状態
⚠️ 緊急受診が必要な症状
上記の重症化サインが一つでも現れたら、**直ちに救急外来を受診**してください。
検査と診断:どこで・どのように調べるのか?
血液検査での異常所見
血液所見では、血小板減少(10万/㎣未満)、白血球減少(4000/㎣未満)、血清酵素(AST、ALT、LDH)の上昇が認められる
確定診断の方法
– SFTSウイルス遺伝子の検出(PCR検査)
– 抗体検査による診断
診断可能な医療機関
SFTSが疑われる場合には、最寄りの保健所にご相談ください
治療法:2024年に画期的な変化が!
従来の治療
長い間、SFTSには対症療法のみで、根本的な治療薬がありませんでした。
新薬の登場:ファビピラビル(アビガン)
朗報:2024年6月に抗ウイルス薬(ファビピラビル)が承認されており、病状の進行が予期される場合には使用が検討されます
2024年6月24日にファビピラビルがSFTSの適応追加の承認がされた
重要:早期治療が効果的なため、疑いがある場合は即座に医療機関を受診することが大切です。
予防対策:自分と家族を守る方法
マダニ対策の基本
服装による防護
– 長袖・長ズボンの着用
– 明るい色の服(マダニの付着が見つけやすい)
– シャツの裾はズボンに、ズボンの裾は靴下に入れる
– 帽子・手袋の着用
忌避剤の使用
現在、ディート、イカリジンの2種類の有効成分の忌避剤が市販されています
注意:忌避剤は、マダニの付着を完全に防ぐわけではありません。他の防護手段と組み合わせて使用しましょう
活動後のチェック
帰宅後の確認ポイント
– 首まわり
– 耳の後ろ
– 脇の下
– 足の付け根
– 手首
– 膝の裏
ペットの管理
– ペットが外から帰宅したらダニがついていないか確認しましょう
– ペットがマダニに刺されないようダニ駆除剤も有効ですので、獣医師に相談しましょう
発生状況:日本のどこで起きているのか?
地域分布の拡大
従来は西日本中心でしたが、2025年は北海道や関東地方でも感染が確認されており、全国的な拡大が懸念されています。現在、29府県で感染地域として報告されています
2024年12月29日までに全国で患者報告があった都道府県は、東京都、神奈川県、富山県、石川県、福井県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の31都府県で、西日本を中心に報告されています
年間発生数の推移
2021年以降は、毎年100名を超える患者が報告されており、2023年は過去最高の133名の患者が報告されています
マダニに噛まれてしまった場合の対処法
絶対にやってはいけないこと
❌ 無理に引き抜こうとする
❌ つぶす
❌ アルコールをかける
❌ 火を近づける🔥
正しい対処法
1. 慌てずに医療機関を受診
ダニに刺されたときは、無理に引き抜こうとせず、医療機関などで処置をしてもらいましょう
1. 経過観察
ダニに刺されたあと数週間は体調の変化に注意をし、発熱等の症状が認められた場合は医療機関を受診しましょう
1. 受診時の情報提供
– マダニに噛まれた日時・場所
– 活動内容
– ペットとの接触状況
よくある質問(FAQ)
Q1: マダニはどこにいるの?
A:草むら、藪、森林などの自然環境に生息しています。庭や公園にもいる可能性があります。
Q2: 都市部でも感染する可能性はある?
A:はい。東京都、神奈川県でも感染報告があり、都市部の公園などでも注意が必要です。
Q3: ペットから感染することはある?
A:SFTSウイルスに感染し、発症している犬や猫の血液などの体液に直接触れた場合、ヒトがSFTSウイルスに感染する可能性があります
Q4: 予防接種はある?
A: 現在、SFTSに対するワクチンはありません。予防が最も重要です。
まとめ:命を守るために今すべきこと
重要ポイントの再確認
1. SFTSは致死率27%の危険な感染症
1. 2024年から治療薬が使用可能になった
1. 予防対策の徹底が最も重要
1. 疑いがある場合は即座に医療機関受診
今日からできる行動
– アウトドア活動時の適切な服装
– 忌避剤の準備・使用
– 帰宅後の身体チェック
– ペットの健康管理
緊急時の連絡先
– 救急外来:119番
– 最寄りの保健所
– かかりつけ医
SFTSから身を守るために、正しい知識と適切な対策が不可欠です。この情報を家族や友人とも共有し、みんなで安全を守りましょう。**
疑いがある症状が現れたら、迷わず医療機関を受診してください。早期対応が命を救います。
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この記事の情報は2025年8月時点のものです。最新の情報については、厚生労働省や国立健康危機管理研究機構の公式サイトをご確認ください。
関連リンク:
– [厚生労働省:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について](https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169522.html)
– [国立健康危機管理研究機構:SFTS情報](https://id-info.jihs.go.jp/diseases/sa/sfts/index.html)