学校で側彎症と指摘された方へ
💡 この記事でわかること
- 学校健診で側弯症を指摘されたら受診が必要な理由
- 側弯症の原因と進行リスク
- Cobb角やRisser分類といった重症度評価の基準
- 整形外科での検査内容と治療法(装具療法・手術)
側弯症は初期には痛みがなく、気づかないうちに進行することがあります。「姿勢が悪いだけ」「痛みがないから大丈夫」と自己判断せず、一度整形外科で専門医の評価を受けることが大切です。
学校健診で「側弯症の疑いがあります」「整形外科を受診してください」と記載された用紙を受け取り、不安になった保護者の方も多いのではないでしょうか。
「姿勢が悪いだけではないの?」「痛みもないのに病院へ行く必要があるの?」「部活動も普通にできているので様子を見ても大丈夫?」このようなご質問を受けることが少なくありません。
結論からお伝えすると、学校健診で側弯症を指摘された場合は、一度整形外科を受診することをおすすめします。側弯症は早期には症状がほとんどなく、本人も保護者も気付かないまま進行することがあります。一方で、早期発見できれば経過観察や装具療法によって進行を防げる可能性が高くなります。
▲ 正常な背骨(左)と側弯症(右)の比較。側弯症ではC字型に背骨が曲がります。
側弯症とは、背骨(脊柱)が左右に曲がり、さらに椎体がねじれる(回旋する)病気です。正常な背骨は正面から見るとほぼ一直線ですが、側弯症ではC字型やS字型に変形します。
単なる猫背や姿勢不良とは異なり、骨格そのものに変化が生じている状態です。医学的には、立位脊柱レントゲン検査において「Cobb角(コブ角)」が10度以上認められる場合に側弯症と診断されます。
学童期から思春期に発症する側弯症の約80~90%は「特発性側弯症」と呼ばれます。特発性とは原因が明確に解明されていないという意味です。
- 10歳前後から発症しやすい
- 女子に多い
- 身長が急激に伸びる時期に進行しやすい
女子では男子よりも進行例が多く、治療を必要とする側弯症は男子の数倍発生すると報告されています。
▲ 学校健診で行われる前屈テスト(アダムテスト)。背中の左右差を確認します。
側弯症は初期にはほとんど症状がありません。腰痛や背中の痛みがないまま進行することも多く、本人も周囲も気付かないことがあります。そのため学校健診では前屈検査(Adam’s Forward Bend Test)を行い、異常がないかを確認しています。
ただし、学校健診はあくまでもスクリーニング検査であり、確定診断ではありません。異常を指摘された場合は整形外科で詳しい検査を受けることが重要です。
次のような特徴がある場合は注意が必要です。
- 肩の高さが左右で違う
- 片方の肩甲骨だけが出ている
- ウエストラインが左右非対称
- ズボンやスカートが傾く
- 前かがみになると背中の高さが違う
- 姿勢が悪いと言われる
- 体が左右どちらかに傾いて見える
ただし、これらがなくても側弯症が存在する場合があります。
軽度の側弯症であれば経過観察のみで問題ない場合もありますが、成長期には短期間で進行することがあります。
進行すると、肩の高さの左右差や背中の変形が目立ち、体幹バランスが崩れたり、慢性的な腰痛や背部痛が生じたりする可能性があります。さらに重症化すると胸郭変形に伴い、肺活量の低下や呼吸機能障害を引き起こすこともあります。特に50度を超える側弯では、成人後も進行が続く可能性があることが知られています。
▲ Cobb角(コブ角)の測定方法と重症度の目安。
側弯症の重症度は、レントゲン検査で測定するCobb角によって評価します。
| Cobb角 | 重症度 | 対応・治療方針 |
|---|---|---|
| 10度未満 | 側弯症に該当せず | 姿勢変化や成長による一時的な左右差の場合があります。 |
| 10~24度 | 軽度側弯症 | 定期的なレントゲン検査による経過観察を行います。 |
| 25~39度 | 中等度側弯症 | 成長期で進行リスクが高い場合は装具療法(コルセット治療)を検討します。 |
| 40~49度 | 高度側弯症 | 脊椎専門医への紹介を検討します。 |
| 50度以上 | 重度側弯症 | 手術治療が検討されることがあります。 |
同じ20度の側弯でも、「小学5年生・初潮前・身長が急激に伸びている」場合と、「高校生・成長がほぼ終了している」場合では進行リスクが大きく異なります。そのため整形外科では骨成熟度も評価します。
骨盤の骨端核の成熟度を評価する方法です。
- Risser0:成長期初期(進行リスク高い)
- Risser1~2:成長期真っ最中(最も進行しやすい時期)
- Risser3~4:成長終盤(進行リスク減少)
- Risser5:骨成熟完了(進行リスク低い)
側弯症の治療方針は、Cobb角とRisser分類を組み合わせて決定します。
整形外科では、姿勢評価、肩や骨盤の左右差確認、前屈テスト、神経学的評価、脊柱全長レントゲン撮影を行います。
レントゲン検査では、Cobb角、弯曲部位、椎体回旋、骨成熟度、進行リスクを総合的に評価します。
▲ 装具療法(コルセット)。背骨のこれ以上の進行を防ぐことが目的です。
一般的に、Cobb角25~40度で、骨成熟前(Risser0~2)の場合には装具療法が検討されます。
装具の目的は背骨を真っ直ぐに戻すことではありません。これ以上進行させないことが最大の目的です。適切な時期に開始することで手術を回避できる可能性が高くなります。
以下のような場合には手術治療を検討します。
- Cobb角45~50度以上
- 急速に進行している
- 装具療法でも進行する
- 著しい体幹変形がある
- 胸郭変形による呼吸機能低下がある
脊柱矯正固定術により背骨の変形進行を防ぎます。
朋クリニックでは学校健診で側弯症を指摘されたお子さまの診察を行っています。
学校から配布された健診結果をご持参いただければ、整形外科専門医による診察、姿勢評価、脊柱レントゲン検査、Cobb角測定、進行リスク評価、経過観察や専門施設紹介の判断を行っています。
朋クリニックは、常時内科1診、整形外科1診の常時2診体制です。整形外科には整形外科専門医が3名在籍しております。
📝 この記事のまとめ
- 学校健診で側弯症を指摘されたら、放置せず整形外科を受診する
- 側弯症は痛みがなくても進行することがある
- 重症度はCobb角(角度)とRisser分類(骨の成熟度)で評価する
- 早期発見し、適切な時期に装具療法を開始することで進行を防ぐ
- 朋クリニックでは整形外科専門医がしっかりと評価を行います
※ 本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。掲載している治療法は代表例であり、実際の治療方針は医師の判断によります。

