内科専門医 監修
朋クリニック 内科専門医(血液内科専門医・神経内科専門医 5名在籍)が監修した、正確な医療情報をお届けします。最終更新:2026年7月


熱中症が激増中!2026年夏、正しい知識で命を守ろうというメインビジュアル

100,510人
2025年 熱中症救急搬送者数
(調査開始以来 過去最多)
+41.8℃
2025年8月 群馬県伊勢崎市
国内歴代最高気温を更新
382件/日
2026年7月 東京消防庁
1日の搬送件数 過去最多更新

「暑いけど、まあ大丈夫か」——その油断が命取りになることがあります。

2025年、熱中症による救急搬送者数は100,510人と調査開始以来初めて10万人を突破し、過去最多を記録しました。2026年の夏も記録更新が続いており、東京では1日の搬送件数が382件と過去最多を更新しています。

熱中症は正しい知識があれば防げる病気です。「どんな症状が出たら危ないの?」「倒れた人を見つけたらどうする?」「室内にいても大丈夫?」——内科専門医がそのすべてにお答えします。

熱中症とは?なぜ起こるのか

熱中症とは、高温・多湿な環境に長時間いることで、体内の水分・塩分バランスが崩れ、体温調節機能が破綻した状態の総称です。「日射病」「熱疲労」「熱けいれん」「熱射病」などを含む幅広い概念で、軽いめまいから死に至る重篤な状態まで、重症度に幅があります。

私たちの体は通常、汗をかいたり皮膚の血管を広げたりして体温を調節しています。しかし気温が高く湿度も高い環境では、汗が蒸発しにくくなり、この冷却システムが限界を超えてしまいます。すると体温がどんどん上昇し、脳・心臓・腎臓・肝臓などの臓器に深刻なダメージを与えるのです。

💡 「暑さ指数(WBGT)」を知っていますか?

気温だけでなく、湿度・日射・風速を組み合わせた暑さ指数(WBGT)が熱中症リスクの目安になります。WBGTが28以上で「厳重警戒」、31以上で「危険」レベル。環境省の「熱中症警戒アラート」が発令されたら、屋外での活動は原則中止を検討してください。

こんな人が特に危ない!リスクの高い条件

熱中症は誰にでも起こりえますが、特にリスクが高い条件があります。自分や家族が当てはまらないか、チェックしてみてください。

リスク要因具体的な状況
高齢者(65歳以上)体温調節機能の低下・のどの渇きを感じにくい・エアコンを使いたがらない
乳幼児・子ども体温調節機能が未熟・地面に近く熱の影響を受けやすい・自分で訴えられない
基礎疾患のある方糖尿病・高血圧・心疾患・腎疾患・精神疾患など
薬を服用中の方利尿薬・抗コリン薬・一部の降圧薬・向精神薬など(発汗や体温調節に影響)
体調不良・睡眠不足前日の飲酒・下痢・発熱・寝不足は体の耐熱性を大幅に低下させる
暑さに慣れていない梅雨明け直後・急に暑くなった日・旅行先など(暑熱順化が不十分)
⚠️ 「慣れているから大丈夫」は危険!

毎年夏を経験しているからといって安心はできません。梅雨明け直後の急激な気温上昇は特に危険で、体が暑さに慣れる「暑熱順化」には約1〜2週間かかります。急に暑くなった日の最初の数日間は、特に無理をしないようにしましょう。

重症度4段階で見る熱中症の症状

2024年に改訂された日本救急医学会のガイドラインでは、熱中症の重症度がI度〜IV度の4段階に分類されています。どの段階かを見極めることが、適切な対応への第一歩です。

熱中症の重症度4段階(I度軽症・II度中等症・III度重症・IV度最重症)の症状と対応を示すインフォグラフィック

🟡 I度(軽症)
めまい・立ちくらみ
筋肉のこむら返り
大量の発汗
生あくび

→ 涼しい場所で休む

🟠 II度(中等症)
強い頭痛・吐き気
体のだるさ・虚脱感
集中力・判断力の低下

→ 医療機関を受診

🔴 III度(重症)
意識がもうろうとする
けいれん
体温40℃以上
まっすぐ歩けない

→ 入院治療が必要

🚨 IV度(最重症)
意識がない・反応なし
呼吸・脈が不安定
深部体温40℃以上

→ すぐ119番!

🚨 この症状が出たら迷わず救急車を!
  • 呼びかけても反応がない・意識がない
  • けいれんを起こしている
  • 水分を自力で飲めない・嘔吐が続く
  • 体温が40℃以上
  • まっすぐ歩けない・ふらふらしている
  • 顔色が悪く、皮膚が熱くて乾いている(汗が出ていない)

「室内でも熱中症になる」は本当

「外に出ていないから大丈夫」と思っていませんか?実は熱中症患者の約4割は住宅内で発症しています(消防庁統計)。特に高齢者の場合、屋内での発症が約6割を超えるというデータもあります。

室内で熱中症が起こりやすい状況

  • エアコンをつけていない・つけたがらない(「もったいない」「寒い」という高齢者に多い)
  • 西日が当たる部屋(午後から室温が急上昇する)
  • 風通しの悪い部屋(熱がこもりやすい)
  • 就寝中(寝ている間に気づかず脱水が進む)
  • 浴室・脱衣所(入浴前後の温度差と脱水)
💡 エアコンは「我慢しない」が正解

「電気代がもったいない」「体に悪い」という理由でエアコンを使わない高齢者の方が多くいます。しかし熱中症で救急搬送・入院した場合のコストは比較になりません。室温28℃以下を目安にエアコンを適切に使用することが、命を守る最も効果的な対策のひとつです。

倒れた人を見つけたら!正しい応急処置

熱中症の正しい応急処置3ステップ(涼しい場所へ移動・体を冷やす・水分塩分補給)と119番のタイミング

STEP 1:まず涼しい場所へ移動させる

エアコンの効いた室内、または木陰など風通しのよい涼しい場所へ移動させます。衣服をゆるめ、楽な姿勢で寝かせましょう。

STEP 2:体を積極的に冷やす

冷却の優先ポイントは「首の両側・わきの下・太ももの付け根」の3か所。ここには太い血管が通っているため、効率よく体温を下げられます。氷のう、保冷剤、冷たいタオルを当て、うちわや扇風機で風を送りましょう。

STEP 3:水分と塩分を補給する

意識がはっきりしていて、自力で飲める場合のみ、スポーツドリンクや経口補水液を少しずつ飲ませます。意識がない・嘔吐している場合は、誤嚥の危険があるため絶対に飲ませないでください。

🚨 こんな場合はすぐ119番!

以下のいずれかに当てはまる場合は、応急処置と並行してすぐに救急車を呼んでください。「様子を見よう」は禁物です。

  • 意識がない・呼びかけに反応しない
  • 嘔吐が続いていて水分を飲めない
  • けいれんを起こしている
  • 応急処置をしても症状が改善しない
⚠️ やってはいけないNG対応
  • 解熱剤を飲ませる:熱中症には効果がなく、むしろ肝臓・腎臓に負担をかける
  • アルコールで体を拭く:急激な体温低下を招き危険
  • 意識のない人に水を飲ませる:気道に入って窒息の危険
  • 「少し休めば大丈夫」と様子を見続ける:重症化して手遅れになることがある

今日からできる!熱中症予防の6つのポイント

熱中症予防の6つのポイント(水分補給・エアコン・帽子日傘・塩分補給・高齢者子ども注意・睡眠)のインフォグラフィック

① のどが渇く前に水分補給

のどの渇きを感じた時点ですでに脱水が始まっています。1時間に200〜250mL程度を目安に、こまめに水分を摂りましょう。運動・屋外作業時はさらに多く必要です。

② 室内もエアコンを適切に使う

室温28℃以下を目安に設定します。「寒い」と感じる場合は、設定温度を上げるのではなく扇風機との併用で体感温度を調整しましょう。

③ 帽子・日傘・日陰を活用する

直射日光を避けるだけで体感温度は大きく変わります。通気性のよい素材の帽子、UVカット機能のある日傘を積極的に使いましょう。

④ 水だけでなく塩分も補給する

大量に汗をかくと水分だけでなくナトリウムも失われます。水だけを大量に飲むと「低ナトリウム血症」を起こすことがあります。スポーツドリンク・経口補水液・塩タブレットなどで塩分も一緒に補給しましょう。

⑤ 暑熱順化を意識する

体が暑さに慣れる「暑熱順化」には1〜2週間かかります。梅雨明け直後や急に暑くなった日は特に注意し、最初の数日間は無理な外出・運動を避けましょう。

⑥ 前日の体調管理も大切

睡眠不足・飲酒・下痢・発熱などは体の耐熱性を著しく低下させます。翌日に屋外での活動や運動を予定している場合は、前日から十分な睡眠と水分補給を心がけましょう。

高齢者・子どもへの特別な注意点

高齢者(65歳以上)

高齢者は体温調節機能が低下しており、のどの渇きを感じにくいという特徴があります。「暑くない」「水分はいらない」と言っていても、実際には脱水が進んでいることがあります。

  • 家族や周囲の人が定期的に声かけして水分補給を促す
  • 「もったいない」と言ってもエアコンを使うよう説得する
  • 朝・昼・夕の体温と体調を確認する習慣をつける
  • 一人暮らしの高齢者は特に見守りが重要

乳幼児・子ども

子どもは体温調節機能が未熟で、地面に近いほど気温が高いため、大人より暑さの影響を受けやすいです。また、症状を正確に言葉で伝えられないことも多いため、周囲の大人が観察することが大切です。

  • 機嫌が悪い・ぐずりが続くは熱中症のサインかもしれない
  • ベビーカーの中は特に高温になりやすい(日除けカバーをつけても注意)
  • チャイルドシートに乗せたまま車内に放置は絶対にしない
  • 水分補給は「飲みたいと言う前に」こまめに与える

よくある質問

Q
スポーツドリンクと経口補水液、どちらがいいですか?
目的によって使い分けます。予防・軽度の水分補給にはスポーツドリンク(糖分が多いため飲みやすい)、すでに脱水症状が出ている場合は経口補水液(OS-1など)が適しています。経口補水液は塩分・糖分のバランスが体液に近く、吸収が速いです。ただし、腎臓病・高血圧・糖尿病の方は塩分・糖分の摂りすぎに注意が必要なため、主治医に相談してください。

Q
熱中症になったことがある人は、また熱中症になりやすいですか?
はい、一度熱中症になると再発しやすい傾向があります。特に重症の熱中症(III度・IV度)を経験した方は、体温調節機能が一時的に低下することがあります。回復後も数日間は無理をせず、こまめな水分補給と涼しい環境での生活を心がけてください。

Q
水をたくさん飲んでいるのに熱中症になることはありますか?
あります。水だけを大量に飲むと、体内のナトリウム濃度が薄まり「低ナトリウム血症(水中毒)」を起こすことがあります。症状は頭痛・吐き気・倦怠感など熱中症と似ており、重症化すると意識障害を起こします。大量に汗をかいた場合は、水だけでなく塩分(ナトリウム)も一緒に補給することが重要です。

Q
熱中症と夏風邪の見分け方は?
主な違いは以下の通りです。熱中症は暑い環境にいた後に発症し、のどの痛み・鼻水・咳などの風邪症状がなく、涼しい場所で安静にすると改善することが多いです。夏風邪はウイルス感染なので、のどの痛み・鼻水・咳などの呼吸器症状を伴い、涼しい場所に移動しても改善しません。判断が難しい場合は医療機関を受診してください。

Q
熱中症の後、いつから運動・仕事に復帰できますか?
重症度によって異なります。I度(軽症)であれば、十分に休養して症状が完全に消えてから翌日以降に徐々に活動を再開できます。II度以上の場合は医師の指示に従ってください。「症状が治まった=完全回復」ではありません。特に重症の熱中症では、臓器への影響が残ることがあるため、無理な復帰は禁物です。

Q
クリニックで熱中症の治療はできますか?
II度(中等症)程度であれば、クリニックで点滴による水分・電解質補給などの治療が可能です。ただし、意識障害・けいれん・体温40℃以上などのIII度・IV度の重症熱中症は、入院設備のある病院への搬送が必要です。「頭痛・吐き気・だるさが続く」「水分を飲んでも改善しない」という場合は、ためらわずにクリニックを受診してください。

まとめ:熱中症は「知識」と「行動」で防げる

2026年の夏も、記録的な暑さが続いています。熱中症は「運が悪かった」で済む病気ではありません。正しい知識を持ち、適切な行動を取れば、ほとんどのケースは予防できます。

  • のどが渇く前に、こまめに水分+塩分を補給する
  • 室内でもエアコンを使い、室温28℃以下を保つ
  • 高齢者・子どもは特に周囲が気にかける
  • II度以上の症状(頭痛・吐き気・意識の変化)は医療機関へ
  • 意識がない・けいれんは迷わず119番
  • 応急処置は「涼しい場所→体を冷やす→水分補給」の順で

「なんか変だな」と感じたら、無理をせず早めに受診することが大切です。熱中症は初期対応が命運を分けます。

🏥 熱中症が心配な方は朋クリニックへ

「頭痛・吐き気・だるさが続く」「水分を飲んでも改善しない」「家族が倒れた後の経過が心配」——そんな時は、ためらわずにご相談ください。

朋クリニックでは点滴による水分・電解質補給など、熱中症の診察・治療に対応しています。内科専門医5名在籍・常時2診体制でお待たせしません。

内科専門医5名在籍
常時2診体制
点滴対応

※意識がない・けいれんなどの重篤な症状は、まず119番に電話してください。
※眼科・産婦人科・歯科は対応しておりません。

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参考文献・情報源

・日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2024」

・総務省消防庁「令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況」(2025年10月)

・熱中症ゼロへプロジェクト「2025年の熱中症にまつわるニュース」(2025年11月)

・環境省「熱中症予防情報サイト・暑さ指数(WBGT)」

・厚生労働省「熱中症関連情報」

・東京消防庁「熱中症による救急搬送者数が過去最多を更新」(2026年7月)

※本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療を行うものではありません。症状がある場合は必ず医療機関を受診してください。

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